能登半島地震から半年
本日7月1日で元日に発生した能登半島地震から半年がたちました。
お亡くなりになられた方のご冥福を祈るとともに、ご遺族の方、被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
災害関連死は52人となり、家屋倒壊や火災による直接死と合わせると亡くなられた方は281人とのこと。
災害関連死の大きな要因は、避難所での体調悪化、感染症の拡大です。
年代別では70代から90代が多く、
「避難所でコロナウイルスに感染した」
「停電で暖房が使えず、体力が低下し、誤嚥性肺炎になった」
等のケースがあるそうです。
半年経った現在も2200人以上が避難生活をしています。
このうち、1038人が体育館等の一次避難所に残っています。
一日も早い生活再建を期待しています。
↓ 日経新聞紙面より(2024年7月1日朝刊)
この状況を踏まえて、これから住まいをつくろうと考えている方はどうすれば良いのでしょうか。
まずは、震度7の地震でも倒壊しない構造にする。
耐震性能を建築基準法の1.5倍の「耐震性能3」にすることが、必須です。
水平構面や基礎の構造まで計算できる許容応力度計算を行ってください。
これは震度7の揺れが2度起こった2016年の熊本地震で実証されています。
一時的に水道や電気は止まると思いますが、被災後も自宅で安心して過ごせます。
次に断熱性能を高め、夏の日射遮蔽措置を行うことです。
冬場は日射熱のみで暖かくなり、夏場は暑くなり過ぎないようにしましょう。
こちらは省エネ等級6(神奈川ではUA値0.46以下)が良いと考えています。
もちろん、さらに高性能の等級7(UA値0.26)や俗にいう等級6.5(UA値0.36)にできれば良いのですが、等級6より上はコストが上がってしまいます。
冬の室内温度(一番低いところ)が18℃を下回らないことが望ましいのですが、
等級6にしておくと、無暖房でも神奈川県では10℃を下回らない程度になりますので、布団をかければ十分寒さ対策は可能だと思います。
逆に夏に冷房を使えない場合、屋根と窓からの日射熱を遮ることが重要です。
屋根の熱対策で有効なのは、断熱材の外側に通気層を設けることです。
暑い空気を排出し、さらに断熱材で室内への熱の侵入を防ぐようにしましょう。
窓は南面は軒や庇が有効です。
8月後半の太陽高度でも直接太陽光が入らないような、軒・庇と窓の設計をしましょう。
東西北面は太陽高度が低い時間に直射日光が入ります。
眺望が望めない窓はなるべく小さくしたり、外側のすだれやグリーンカーテンで日射を遮りましょう。
これだけでも、室内温度は外気温+4℃前後で抑えられます。
冷房が使えない場合は通風すれば、涼しく感じられます。
更に耐久性を高めることが大切です。
劣化した住宅の構造強度は新築時に比べて低くなりますので、地震被害が大きくなってしまいます。
では、木造住宅の躯体を構成する木材の劣化の原因は何でしょうか。
木材腐朽菌の繁殖と虫害(シロアリ等)です。
腐朽菌の発生には、栄養(木材)、温度、水分、酸素の4要素が必要です。
どれか1つでも欠けると発生しません。
この中でコントロールできるのは、「水分」だけです。
結露(特に見えない部分の内部結露)を防ぐ設計と材料選定と施工が大切です。
シロアリ被害を防ぐには、木材に食害を防ぐ薬剤を含浸させたり塗布することが有効です。
薬剤は何が良いかというと、私は「ホウ酸」をおすすめしています。
初期費用は高めですが、半永久に木材表面に付着し続けてくれること。
そして、なにより人体やペットへの健康被害がない(食塩と同程度)ことが一番のおすすめ理由です。
一般的な神経毒の薬剤は、シロアリに効果的ですが、有効期間が5年であり、定期的なメンテナンス費用が多くかかること。
なにより人体や体の小さいお子様やペットへの影響が少なからずありますので、おすすめはしていません。
これから住宅を持とう!と考えている皆様。
耐震性と断熱性能は当然大切です。
でも、その新築時の性能を30年50年100年維持させる対策も忘れないでください。
いま35歳だとして、住宅ローンを完済した70歳で耐久性が低下していて、地震被害を受けてしまったら・・・
神奈川県では30年以内に大地震が発生する確率は70%~80%とされています
↓ 地震調査研究推進本部事務局(文部科学省研究開発局地震火山防災研究課)HP
まずは、耐震等級3(許容応力度計算による)が必須ではないでしょうか?
新築時でしたら、構造計画をしっかりできるので、工事を依頼する建設会社に相談してください。
標準仕様が耐震等級1の会社の場合、コストは上がってしまうかも知れません。
しかし、地震保険の割引があるので、5年~10年で回収できるはずです。
地震被害にあってしまったとしても、
ご家族が「安心」して暮らせる住宅をつくりましょう!
そして、30年後、50年後も、住宅として価値のある、次の世代に引き継げる住宅をつくりましょう!