気密工事の要所とは?
本日、新築工事中の物件の気密測定を行いました。
以前のブログに気密性能について書かせていただいていますが、気密性能は断熱性能とセットで考える性能で、『相当隙間面積・C値』で表されます。
C値は小さいほど隙間が少なくて、気密性能が良いというものです。
詳しくは、こちら(←)をご覧ください。
話を気密測定に戻します。
今回の住宅の気密ラインは、屋根・外壁・ポーチ上部の床・基礎です。
屋根及び外壁の面材取付、外部建具取付が完了した時点で測定しました。
気密工事の内容です。
柱の外側に取り付けた耐力面材と屋根の水平構面を構成する構造用合板の継手に気密テープを張ります。
当然ですが、周辺部も取合う材料との隙間にもテープを張ります。
次は玄関ドアと窓を取付けます。
外部建具は半外付けを採用していますが、躯体に取り付ける部分に隙間ができやすいので、ここにもひと手間かけています。
ツバの躯体側に気密パッキンを取付けます。
黒いスポンジ状の気密パッキンが外部建具を躯体に固定すると、ギュッとつぶれて隙間を埋めてくれる優れものです。
貫通部の気密部材も施工性が良い部材を採用しています。
今回、気密ラインを外壁の面材にしているので、面材の表面で気密をしていますが、この後の防水透湿シートを施工した後にも同様に防水処理を行っています。
同じ作業を二度行うのですが、それぞれに意味があります。
ただし、気密ラインを室内側とする場合は、この写真の気密処理は室内側で行います。
今回は基礎で気密ラインを取っていますので、基礎と土台の取合いや設備配管の貫通部等の隙間を埋めます。
こちらは、貫通用に設けたスリーブと配管の隙間に発泡ウレタンを充填します。
この他にも、気密ラインの小さな穴を見つけて処理していくのですが、建物の形状により出来やすい部分があるので、そこを重点的に見ていきます。
その他に、下地の木材をちょっと外れてしまった釘の打ち直しの穴も埋めるのも大切です。
小さなことですが、このような地道な作業の積み重ねが大切なのです。
気密ラインが見えている今しか、隙間は塞げないので、高気密住宅をつくろうとしている方はこの段階の重要性を知っていただけるとありがたいです。
そして、いよいよ気密測定を行います。
結果は、『 C値 0.2㎠/㎡ 』でした。
当社は、C値0.5以下を目指していますので、十分良い結果が出せました。
気密処理を頑張ってくれた大工さん、その他の職人さんのおかげです。
ありがとうございました!
これから住宅をつくろう(または買おう)としている皆様へ。
最近は外壁に面材(合板など)を取付けることが多いです。
外壁に面材を張るだけでも、竣工後はC値2.0を下回るくらいになることもあります。
内装材のビニールクロスで気密が取れてしまうこともあります。
でも、完成してから、地震や台風などで住宅が揺られると隙間ができます。
下地の木材の乾燥による収縮やねじれでも隙間はできます。
気密性能は意識してつくらなければ、5年後、10年後の性能は担保できません。
『気密性能は断熱性能とセットで考えるべき』なのですが、耐震性能とも併せて考えていただきたいです。
耐震等級を高めると同じ水平力を加えたときの、傾きが小さくなるからです。
建物の変形が小さくなれば、将来できてしまう隙間も少なくなり、気密性能の劣化も抑えられるのです。
気密ラインがどこなのかを意識して施工し、長く快適に暮らせる住宅を手に入れましょう。
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