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  • すまい環境設計株式会社

『気密測定』のすすめ

『気密性能』はご存知でしょうか?

『高断熱・高気密』という言葉は聞いたことがあると思います。

『高断熱』は性能評価の項目に入っていますし、2022年10月に上位等級も新設されるなど注目を集めましたので、住宅を購入しようとしている方はご存知でしょう。

それでは、『高気密』とは何でしょうか?

住宅の外皮(屋根や外壁、床などの外気と接する部分)の隙間を少なくすることを『気密』と言います。

気密性能が高い(隙間が少ない)と冷暖房が効きやすく省エネな住宅になります。

逆に気密性能が低い(隙間が多い)と室内の空気と屋外の空気が出入りしやすいので、冷暖房が効きにくいということになります。

冬(暖房期)は室内の暖まった空気が天井や屋根から屋外に抜けていきます。

負圧になった室内に床下等の隙間から冷たい空気が引き込まれ、床付近に溜まります。

室温を上げても快適にならないのは、このような現象が繰り返されるためです。

足元が冷えて不快に感じるのです。

高気密にするとこのような空気の動きが少なくなります。

住宅の省エネルギー設計と施工2023より

断熱性能をいくら高めても気密性能が低いと躯体の断熱性能を発揮できません。

断熱性能と気密性能はセットで考えないといけません。

気密性能は『相当隙間面積・C値』で表されます。

住宅の外皮に存在する隙間面積(c㎡)を床面積(㎡)で割って算出します。

数値が小さいほど高性能になります。


「平成11年省エネ基準」では、神奈川県があるⅣ地域(当時)は5.0c㎡/㎡が基準で、2.0c㎡/㎡以下を高気密住宅と呼んでいました。

気密性能(C値)によって断熱性能(UA値)がどれくらい悪化するか、断熱等級6(UA値0.46)でみてみます。

※断熱性能UA値は0に近いほど高性能です

平成11年基準の「気密」住宅

 C値5.0→UA値 0.71(36%悪化)

平成11年基準の「高気密」住宅

 C値2.0→UA値 0.56(18%悪化)

こんなに悪化するんですね。

また、これだけ隙間があると壁内結露のリスクも高くなります。

壁内結露は木材を腐らせる原因のひとつですので、もう少し気密を上げたいですね。

 C値1.0→UA値 0.51(10%悪化)

 C値0.5→UA値 0.48( 5%悪化)

こうみると、最低でもC値1.0、目指すのは0.5ではないでしょうか。


さきほど『C値』の算出方法を示しましたが、『隙間面積』はどうやって算出するのでしょうか?

これは、建物一棟ごとに実際の物件で測定します。

断熱性能と違って計算で出せるものではないのです。

同じ設計でも実際の現場の施工精度によって違いますし、建物の形状や気密の方法、気密層の位置によってもC値が違ってきます。

設計も施工も両方大事なのです。


実際に気密測定しているところ

測定のタイミングは、気密工事が終わった段階です。

気密層が見えている状態なら、隙間を見つけて塞ぐことができます。

完成してしまうと隙間の位置を特定するのも出来なくなってしまうので、忘れずに測定しましょう。

繰り返しになりますが、気密性能は基準がありませんし、測定の義務もありません。

しかし、省エネ住宅の性能の重要な要素の一つです。

『高断熱・高気密』の住まいで、省エネで快適に健康に暮らしましょう。

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