本日3月20日、屋根工事中の現場をサーモカメラで温度測定してみました。
条件は以下の通りです。
・外気温14℃くらい
・天気:くもり時々晴れ
・屋根:ガルバリウム鋼板立平葺き
本体は完了
換気棟の棟板金は取付未完了
・屋根通気:垂木H60
・屋根断熱:工事中(8割程度完了)
工事は棟の板金を取付ける前まで進んでいます。
屋根材の下には通気層t60㎜があり、軒先から空気を取り込み、屋根の一番高い棟全体から排出する構造にしています。
垂木の下にも防水透湿ルーフィングを張ってあります。
万が一、仕上げ側の防水層から雨水や結露水が侵入してしまった場合にも、水分を排出できる構造としています。
下の画像④は、①と同じ部分をサーモカメラで撮影したものです。
左右の屋根は南側で47℃、北側で37℃です。
中心の棟換気部分から排出される空気は外気温と同じくらいの13℃です。
この物件は、屋根材と野地板の間にも通気材を設置しているため、熱が野地板にも伝わりにくいのだと思います。
熱の伝わり方は3種類あります。
伝導、対流、放射(輻射)です。
『伝導』は、物と物が接触したときに、接触したところから熱が伝わる現象です。
例)湯たんぽ、カイロ
『対流』は、空気が動くことで、空気がもつ熱が伝わる現象です。
例)エアコン
『放射(輻射)』は、熱が電磁波という状態で放出され、離れたところに熱が伝わる現象です。
例)太陽光、ストーブ
夏の暑さを防ぐのに効果的なのは、太陽光(輻射熱)を室内(躯体内)に入れないことです。
室内側のカーテンやブラインドで遮るよりも、屋外側でシェードや簾で遮る方が効果的です。
晴れてる日でも日向よりも日影の方が涼しく感じますよね。
外壁では、通気層の設置が当たり前になっています。
外装仕上げ材が外付けのシェードのような役割を果たしているので、躯体の手前に日影ができるので、夏の暑さを抑制しています。
外壁と同様に、屋根にも通気層を設置した効果が今回見える化できました。
今後は外壁と同様に屋根通気も一般化していくと良いですね。
ところで、通気層の役割は2つあります。
躯体と外装仕上げ材の間の
①湿気を排出すること
②水分(侵入雨水・結露水)の排出をすること
そのためには、
①連続させること
②防水層と接する通気胴縁を縦方向にすること
が、大切です。
外装材を縦方向に取り付ける場合は、下地材は横方向になります。
その場合は、通気層に侵入した雨水や結露水が下に流れるのを横材がせき止めてしまうので、雨漏れリスクが高まります。
木造住宅の躯体は雨漏れなどで水分が躯体内に滞留してしまうと、腐朽菌やシロアリ等の生物劣化につながり、本来の耐震性能を発揮できず、地震被害の拡大にもつながります。
通気層の大切さを理解して、しっかりと施工できる職人さんと施工管理技術者、そしてなにより設計者もこのようなことを知っていただけたら幸いです。
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